長嶋茂雄さんが世界的建築家の黒川紀章氏との対談で見せた“まさかの配慮” 自然と膝を折って…
カメラマンの求めに応じてソファから立ち上がると…
そんな条件のもと、A氏は月刊誌での対談企画を提案。当時、長嶋さんは中国野球協会の招きで指導を行っていた。そこで中国について語るというテーマで、対談相手は世界的建築家の黒川紀章氏。大の長嶋ファンだ。黒川氏はその頃、中国海南島の開発計画に関わっており、中国は二人の共通テーマだった。
「対談中、黒川さんは幾度となく“早く監督として球界に復帰してほしい”と長嶋さんに迫っていました。“僕は12球団全部のオーナーを知っているから、ご希望の球団を言っていだだければ、すぐに連絡を取ります”という黒川さんに、長嶋さんは“ありがとうございます、エヘヘ”とほほ笑むばかりでした。長嶋さんの中には、巨人以外の選択肢はなかったんだと思います」
A氏の印象に強烈に残っているのが、この対談後に見せた長嶋さんの気遣いだった。対談が終わり、ツーショットでの写真撮影のときのこと。カメラマンの求めに応じて二人がソファから立ち上がった。
「実は、黒川さんは身長160センチあるかどうかの小柄な人。長嶋さんは178センチ。二人が並ぶと体格の差は歴然でした。カメラマンがシャッターをきり始めると、なんと長嶋さんは膝をわずかに折って、黒川さんと頭の高さが同じになるようにしたのです。そのまま立っていては、黒川さんを見下ろすことになる。本当に自然にスマートにそういう配慮をする長嶋さんに、“なんてデリカシーのある人なんだ”と感銘を受けました」
もともと長嶋ファンだったA氏はいよいよミスタープロ野球の虜になった。
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「ミスタープロ野球」は身近に接した誰もに、それぞれの「長嶋像」を強く焼き付けている。日刊ゲンダイの連載では、数多くの球界OBたちが語った“実像”を再構成し、現在、緊急公開中だ。長嶋氏は巨人監督時代、助っ人外国人の「下半身事情」まで心配し、「何なら紹介してやろうか?」と申し出たこともあったという。
そんなユニークな一面を含め、長嶋氏の素顔に迫るエピソードは、関連記事【私が見た長嶋茂雄】…から要チェックだ。