首位快走の日本ハムが警戒すべきはソフトBより西武の意外…名球会会員・山崎裕之氏が語る西口監督の胆力
外野はリーグ屈指の守備力
しかも、日本ハムにはいない平良海馬(リーグトップの19セーブ、同1.32)というリーグ屈指の抑えがいるのも大きい。
「個々の先発のスタミナは、新庄監督の過去3年間の積み重ねもあり、日本ハムに分があるでしょう。ただ、西武も先発により長いイニングを任せつつ、リリーフ投手の疲労も考慮して運用している。1試合平均の救援投手の登板人数は2.59で、これは日本ハムの2.79よりも少ない。必ずしも盤石とはいえないブルペンをうまくやりくりしているのは、投手出身である西口文也監督(52)ならでは。今の成績は決してフロックではありません」(山崎氏)
西武は昨季、91敗を喫して最下位に沈んだ。しかし今季は、二軍監督として経験を積んだ西口監督を筆頭に、鳥越へッド、仁志野手チーフら外部の血を取り入れ、これがチームの活性化につながっている。
「攻撃力は日本ハムに対し分が悪い。それでも、無死二塁の好機で簡単にポップフライを打ち上げていた昨季とは違い、進塁打、バント安打なども駆使し、少ないチャンスをモノにして、得点を奪おうという意図が感じられる。投手力を背景に、リーグ最少の27失策で守備力も向上。特に中堅・西川、右翼・長谷川の2人はリーグ屈指の守備力を誇り、12球団ナンバーワンと言っても過言ではない。これが、1点差試合でリーグ最高の17勝9敗と大きく勝ち越す要因になっているといえるでしょう」
こう話す山崎氏は先日、ベルーナドームで西口監督と会話を交わした。
「これと見込んだ若手は我慢強く使い続ける。中でも長谷川は3~4月、打率.184とからっきしだったが、24試合で計96打席立たせた。その経験が生きたのでしょう、今は中軸を打つまでに。まだまだ発展途上の選手ながら、『ガマンした甲斐があったね』と声をかけたら、『そうですね』とうなずいていた。その一方、源田、外崎というチームの顔に対して、調子が悪ければ遠慮なくスタメンから外す厳しさも持ち合わせている。直近の監督ができなかったことを西口監督はやれる。温厚そうな見た目とは裏腹に、肝が据わっています」
そんな西武は1日からオリックスとの2連戦、4日からソフトバンクとの3連戦に臨む。
「西武にとってはこの5試合がひとつのヤマになるでしょう。勝敗の結果によっては、シーズン終盤まで優勝争いに割って入る余地はあると思います」(山崎氏)
新庄日本ハムが警戒すべきは、昨季覇者の「巨大戦艦」よりも、生まれ変わりつつある「レオ軍団」の方かもしれない。