著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

トランプ大統領が「MLBコミッショナー」になる日…“伏線”はすでに張られている

公開日: 更新日:

 22年の中間選挙では、第2次トランプ政権で副大統領になった共和党のJ・D・バンスが新人候補として勝利した。さらに、24年の連邦下院選と州議会選では共和党が多数派となり、州知事と州務長官も独占した。

 この勢いを保ち、政権への審判という性格を持つ26年の中間選挙に臨むためには、オハイオ州の有権者の歓心を買う必要がある。郷土の英雄でもあるローズやクレメンスを活用するのは、トランプ陣営としては当然の戦略となる。

 また、トランプが29年1月に任期満了により大統領を退任した後のことを視野に入れて球界への介入を強めていることも考えられる。

 現職のマンフレッドは29年1月で退任する意向を示している。くしくも両者の退任の時期が一致することを考えれば、マンフレッドの後任を前大統領のトランプが務めるという可能性も皆無ではない。

 もちろん、大統領を退任した後も共和党に影響力を行使し、国際社会でも一定以上の存在感を発揮するだろう。それでも、米国内における名声と権威の高さを考えれば、誰よりも目立ちたいと思うトランプにとって大リーグのコミッショナーは格好の転身先となる。

 トランプの発言を受けてクレメンスがSNSに「愛情に感謝する」と投稿した。だが、トランプの愛情はクレメンスではなく自分自身に向けられているものかもしれない。

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