谷繁元信の技術力はコーチ目線でも勉強になり、小林誠司の指導にも生きた

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谷繁元信氏について綴られた、秦真司氏による「間近に見た名将の真実」(第36回=2021)を再公開

 日刊ゲンダイではこれまで、多くの球界OB、関係者による回顧録や交遊録を連載してきた。

当事者として直接接してきたからこそ語れる、あの大物選手、有名選手の知られざる素顔や人となり。当時の空気感や人間関係が、ありありと浮かび上がる。

 今回はあの谷繁元信氏について綴られた、秦真司氏による「間近に見た名将の真実」(第36回=2021)を再公開。年齢、肩書などは当時のまま。 

  ◇  ◇  ◇

 中日のコーチを務めた2005年から2年間、私は落合博満監督が名古屋市内に所有するマンションに住んでいた。04年にコーチ契約をする際、球団に「監督のマンションが空いているけど、どうする?」と勧められたのだ。ナゴヤドームから5キロほどの場所にあり、当時の二軍監督も住んでいた。ただ、そのマンションに落合監督はいなかった。東京に自宅があるが、名古屋ではホテル暮らしをしていたようだ。

 中日はコーチ陣の待遇が良かった。他球団と違うのは「自由に使っていいよ」とまとまったタクシーチケットをポンと渡されたこと。私は30分ほどかけて徒歩で通ったため、ほとんど使わなかったが、「ナイター後くらいは乗って帰っていいんだぞ」と球団に念を押されたほどだ。太っ腹だと思ったが、落合監督が「コーチ陣に不自由な思いをさせないように」と球団に頼んでいたからだった。

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