ポストシーズン突然の活躍で「Mr.オクトーバー」に成り上がった3人のメジャー打者
ポストシーズンでこれに次ぐレベルの活躍をした無名選手はカージナルスの新星デービッド・フリーズだ。フリーズは大学時代、酒と女で身を持ち崩し、アルコール依存症の治療を受けたため野球から1年遠ざかっていた悪ガキだった。酒気帯び運転で逮捕されたことも2度あるが、心を入れ替えて野球を再開したところプロ入りがかない、3年目にカージナルスでメジャーデビュー。その後、出場機会を増やして11年のポストシーズンでは初戦からサードのレギュラーに起用された。速球にめっぽう強いフリーズは初めてのポストシーズンで、相手投手の速球の失投を見逃さずに長打を量産。ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズでは打率.545、3本塁打、9打点を記録してMVPに輝くと、レンジャーズと対戦したワールドシリーズでも、起死回生の三塁打やサヨナラアーチを放ってMVPに選出された。
35歳の三流ロートル選手が、ワールドシリーズで狂い咲きしてMVPに選出されたケースもある。スティーブ・ピアースは24歳でメジャー入りした後、一度もレギュラーになったことがないジャーニーマンで、18年の6月に控えの一塁手としてブルージェイズからレッドソックスに移籍し、もうじき引退かと思われた。だが、レギュラー一塁手の打撃不振で、ポストシーズンでは連日スタメンで起用され、ワールドシリーズでは値千金の一発を3本放ち、崖っぷちから蘇った男と称賛された。