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菅谷齊東京プロ野球記者OBクラブ会長

1943年、東京都生まれ。共同通信社でV9時代の巨人をはじめ、阪神などを担当。1970年代からメジャーリーグも取材した。野球殿堂選考代表幹事を務めたほか、三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。現在は東京プロ野球記者OBクラブ会長。

シーズン最多勝巡る「42勝事件」…日本プロ野球のウソみたいなホントの出来事

公開日: 更新日:

・コミッショナー裁定により、稲尾の記録は「新記録」から「タイ記録」として公式記録に認定され、現在に至る

 スタルヒンの42勝を最多記録としたのは、それまでは投手勝利の規則が曖昧だったから。

 プロ野球草創期は勝利投手を決めていたのは公式記録員だった。それを大リーグに倣って、決めた規則に当てはめたため、2勝が消え40勝となった。問題の2勝はいずれも先発が勝利投手となった。従って稲尾が42勝した時点では、40勝が最多記録だった。新記録に注目が集まったことを受けて調べ直した結果、コミッショナーが「公式記録員が決めていたのを変更すべきではない」とひっくり返して42勝が蘇った。

 この後出しルールに稲尾が納得したのかというと、もちろん「否」。40勝をマークした次の登板のとき「41勝で新記録だな」と関係者に確認し、そして勝った。その後にもう1勝プラスして42勝としている。後から思うと神がかり的な直感だった。実は42勝を挙げた次の登板で、稲尾は勝利寸前でマウンドを降りている。後年、稲尾は「42勝が記録になっていれば、もう1つ勝っていたよ。悔いが残るね」と。今なら超の付く大騒動になっていただろう。

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