著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

公開日: 更新日:

 この発想が都市マラソンの隆盛→プロ化に結び付いて、90年代にケニアが参入。お家芸を誇った日本のマラソンは、記録の上昇気流に押されて先頭グループを離れた。しかし、果たして低迷は記録のせいだったのだろうか。

 洋の東西を問わず、かつて走るのは泥棒だけと言われた。人は目的があって走り出し、市民ランナーには個々の目的がある。プロを自称するなら、「世界」とか「自己ベスト」など曖昧ではない、目的の可視化、連帯感が欲しい。その点、大迫のマラソンは分かりやすい。

 実業団連合とアールビーズ社が展開した日本記録報奨金制度で、1億円を2度手にした。準備は周到で、実業団生活を1年で切り上げ、妻子を連れて渡米。ケニア合宿など世界の流れを体感し、研究し、走り出している。目的-手段-結果が明快で、ラストランの覚悟で臨んだ21年・東京五輪のレース運びも印象的だった。大迫はアフリカ勢の力を熟知していた。王者キプチョゲのスパートにはつかず、計算した自分の走りで入賞……。

 川内優輝も“プロ”の肩書にふさわしく、分かりやすい。スピードも常識もないが、自分の意志を貫き“市民ランナーの星”となり、ボストンマラソンのビッグタイトルまでゲットしてしまった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも