衣笠祥雄さんの背中に見たプロ魂 だからボクも「今なら絶対許されないこと」を医者に頼んだ

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「グラウンドに出たら言い訳はしない」

 鉄人の背中はそう教えてくれます。

 骨折してもバットを振り続ける姿を見てきたボクらは、打撲程度の“軽傷”で試合を休むわけにはいきません。

 84年の巨人戦。一塁に出たボクはリードを大きく取ります。セットに入った加藤(初)さんの右足が動きます。

「牽制だ!」

 慌てて頭から帰塁すると、右手中指を思い切りベースに突いてしまいます。患部はズキズキ痛み出し、いつのまにかぷっくり腫れています。試合後病院でX線を撮ると剥離骨折の診断。レギュラーに定着してまだ2年目。長期間欠場してポジションを手放すわけにはいきません。

入団1年目の左足骨折で顔なじみになった担当医に無理を言って、取り外しのできるサック式のギプスをつけてもらいます。次はチーフトレーナーの福永(富雄)さんです。

「骨折のこと、古葉監督には黙っててもらえませんか……」

 チームトレーナーは、選手の体調、ケガの状態を正確に報告する義務があります。今ならこんなことは絶対に許されませんが、福永さんは何もいわずわがままを聞き入れてくれたのです。

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