正岡子規の青春を描いた最新作が話題 伊集院静氏に聞く

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 やがて、子規は病の床に就き、何年も寝たきりの生活を送る。しかし、それでもなお、彼の周囲には人々が集まり、そして子規自身も最期まで創作活動に命の炎を燃やし続けた。

「明治というあらゆる物事の創成期に、我欲を持たず、高い志を糧に精いっぱい生きた子規と、漱石をはじめとする多くの文学者の卵たちの姿からは、私自身も学ぶことが多い。たとえ35歳でこの世を去ることになっても、素晴らしい人生だったと言い切るためには何が必要かを教えてもらえる気がします。それは、現代人が思う素晴らしい人生とは違うかも知れません。しかし、日本人が忘れかけている誇りや情熱のようなものを、彼らは確かに持っていた。そんな時代の空気感を、感じ取ってもらえればうれしいですね」

◇いじゅういん・しずか 1950年、山口県生まれ。立教大学文学部卒業。CMディレクターなどを経て、1981年「皐月」で小説家としてデビュー。92年「受け月」で直木賞、02年「ごろごろ」で吉川英治文学賞を受賞。近著に「お父やんとオジさん」「いねむり先生」「なぎさホテル」など多数。

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