「殺したい蕎麦屋」椎名誠著
■殺意すら感じる蕎麦屋!?
何とも物騒な書名だが、著者いわく、その店を出るときに出入り口の引き戸を後ろ足で閉めたくなる程度の「殺意」らしい。殺意を感じるその理由は、蕎麦の量だ。ある有名蕎麦屋では、入店したときにBGMにビバルディの「四季」が流れているのを聞き「ひそやかな殺意のきざし」を感じ、出てきた「せいろ」はどうみても20本くらいしかのっておらず、3本分で駅の蕎麦が食べられると憤慨する。その他、モンゴルやパラグアイなど旅先で出合った犬たちのことをつづった「さらば愛しき犬たちよ」やアラスカでのアザラシの生肉やカナダでのイッカク(クジラ)などについて語る「辺境の食卓」などを収めた写真付きエッセー集。(新潮社 1400円)