「失われた名前」マリーナ・チャップマン著、宝木多万紀訳
■サルと共に生きた少女の真実
ジャングルでサルの群れに交じって幼年期を過ごした著者が、その数奇な人生を語ったノンフィクション。
おそらく1950年ごろ、コロンビアで生まれたと思われる著者は、4~5歳のときに誘拐され、森の奥深くに捨てられる。生きるためにサルの群れに交じり、彼らの行動を真似て命をつないだ彼女は、やがて四つん這いで歩行するようになり、人間の言葉もすっかり忘れてしまう。3、4年後、出会ったハンターと森を出た彼女だが、彼らが連れていってくれたのは売春宿だった……。
ストリートチルドレンやマフィア一家の下での生活など死と隣り合わせの日々をくぐり抜け、自ら人生を切り開いた感動の物語。
(駒草出版 1800円)