「とことん!とんかつ道」今柊二著
■読めば必ずとんかつが食べたくなる!
今柊二著「とことん!とんかつ道」(中央公論新社 1000円)には、とんかつの発祥から全国のうまいとんかつ店まで、とにかくとんかつのすべてがつづられている。いわゆるグルメガイドとは違い、老舗からチェーン店まで、気分や懐具合に合わせて選べる店が網羅されているのもうれしい。“とんかつ”の発祥は、定かではないという。しかし本書では、食文化研究家である小菅桂子女史の著書を採用し、元宮内庁大膳部の島田信二郎氏が開いた上野の「ぽん多」(現在の「ぽん多 本家」)で、明治38年に提供されたものが最初であろうと分析している。
とんかつ発祥の地ともいえる上野でも老舗と呼べるのが、「井泉」だ。著者おすすめはロース定食1250円。まずは味噌汁をすすって心と胃を落ち着けたら、酸味のあるソースとからしをつけた軽やかかつ軟らかいカツをひと口ほおばる。さすが老舗、ご飯自体もうまく、カツ2切れであっという間に平らげてしまうほど。ご飯はおかわり自由で、満足すること請け合いだという。
たまのぜいたくなら、銀座の老舗、「梅林」を訪れたい。ヒレカツ定食2600円とさすがのお値段だが、たまには“自分へのご褒美”もいい。“このご時世、ランチは1000円以下!”という人におすすめなのが、「とんかつ坂井精肉店」。経堂や高田馬場などでチェーン展開しており、肉厚ロースカツ定食が690円。もちろん、ご飯とキャベツ食べ放題だ。