「銀翼のイカロス」池井戸潤著

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 ご存じ半沢直樹シリーズの最新作。東京中央銀行営業第2部次長、半沢直樹は、破綻寸前の巨大企業、帝国航空の担当を言い渡される。実効性のない同社の再建策を見直し、修正再建計画をまとめよ。頭取の指名によるミッションだった。

 この担当替えを快く思わない前任者、危機意識が欠如した帝国航空側の抵抗をはねのけて、半沢とそのチームは、自主再建を可能にする再建策を練り上げる。そして政府による有識者会議のお墨付きを得た。

 ちょうどそのころ、衆議院選挙で、クリーンな政治を標榜する進政党が歴史的な政権交代を果たす。目玉人事として、元女子アナ議員が国土交通大臣に抜擢され、記者会見の席上で、前政権の有識者会議による修正再建計画を白紙撤回、私的な再生タスクフォースの立ち上げを宣言する。帝国航空の再建を政治ショーの道具にしてなるものか。戦いを挑む半沢たちの前に、やがて巨大な敵が姿を現す。この難関に、頭取も行員もバンカー魂を問われ、苦渋の選択を迫られる。

 豪腕の再建屋として名をはせる乃原、進政党の大物、箕部など、悪役は存在感十分。金融庁の嫌われ者、黒崎も健在だ。巨悪にもひるまない半沢の、胸のすく倍返しに、スカッとすること間違いなし。

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