「銀翼のイカロス」池井戸潤著

公開日: 更新日:

 ご存じ半沢直樹シリーズの最新作。東京中央銀行営業第2部次長、半沢直樹は、破綻寸前の巨大企業、帝国航空の担当を言い渡される。実効性のない同社の再建策を見直し、修正再建計画をまとめよ。頭取の指名によるミッションだった。

 この担当替えを快く思わない前任者、危機意識が欠如した帝国航空側の抵抗をはねのけて、半沢とそのチームは、自主再建を可能にする再建策を練り上げる。そして政府による有識者会議のお墨付きを得た。

 ちょうどそのころ、衆議院選挙で、クリーンな政治を標榜する進政党が歴史的な政権交代を果たす。目玉人事として、元女子アナ議員が国土交通大臣に抜擢され、記者会見の席上で、前政権の有識者会議による修正再建計画を白紙撤回、私的な再生タスクフォースの立ち上げを宣言する。帝国航空の再建を政治ショーの道具にしてなるものか。戦いを挑む半沢たちの前に、やがて巨大な敵が姿を現す。この難関に、頭取も行員もバンカー魂を問われ、苦渋の選択を迫られる。

 豪腕の再建屋として名をはせる乃原、進政党の大物、箕部など、悪役は存在感十分。金融庁の嫌われ者、黒崎も健在だ。巨悪にもひるまない半沢の、胸のすく倍返しに、スカッとすること間違いなし。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です