「蟻の菜園」柚月裕子著

公開日: 更新日:

 連続不審死事件の容疑者として名前が浮上した美貌の結婚詐欺師・円藤冬香。複数の男性と親しく交際し、多額の金を振り込ませた形跡があったため、結婚詐欺の末に殺害した疑いをかけられたが、冬香には完璧なアリバイがあった。

 そんな冬香に興味を持ったのが、フリーライターの今林由美。異性に不自由しそうにない美貌を持つ、いくらでも幸福を掴めそうな女が、なぜ結婚詐欺に手を染めたのか。彼女の生い立ちを追ううち、思ってもみなかった冬香の不幸な子供時代が見えてくる。冬香の隠された過去と事件の真相を結ぶ接点は、果たして見つかるのか…。

 第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し「臨床真理」でデビューした著者の最新作。不可解な事件を追いかける主人公のフリーライターが、容疑者に関する断片的な証言を少しずつ集めて、事件の真相に近づいていく。社会の中で追い詰められ、犯罪者へと変貌していく容疑者の人生が悲しい。

(宝島社 1620円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手