「誰も書かなかった自民党」常井健一著

公開日: 更新日:

 安倍晋三小泉進次郎の共通点はなにか。政治家一族の御曹司、マスコミ受けするところなどのほかにもうひとつ。実は両者とも自民党青年局の局長経験者(進次郎は現職)なのだ。青年局は1955年の自民結党時から存在するが、県連ごとで組織構成に違いがあり、自民党の強い福井などでは56歳が「県青年局長」だという(昨年9月時点)。もともと自民の保守本流は高級官僚から転身した頭脳派集団。吉田茂にスカウトされた池田勇人や佐藤栄作を筆頭に宮沢喜一らが続く「宏池会」の流れだ。

 これに実業界やマスコミから転身した面々による系列(佐藤派・田中派・竹下派)が加わったが、これに対して地盤も後ろ盾もない保守傍流の拠点として出発したのが青年局だった。早大雄弁会出身者などはここを経て次第に総裁レースなどに出馬するようになっていく。そのうち麻生太郎や安倍晋三らサラブレッド組をも引き込んだ「総理の登竜門」にまで変貌してきたのである。著者はかつて「AERA」で政界取材を担当した“進次郎モノ”を得意とするノンフィクションライター。

(新潮社 740円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?