「ドファララ門」を上梓したジャズピアニストの山下洋輔氏に聞く

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 世界的なジャズピアニストの源には、母の陽気さと好奇心があったのか。

「原点に戻ると、俺が生まれたときには既にピアノがあった。そのピアノはどこから来たのか、を初めて考えてみました。母の嫁入り道具でしたが、もともと母はジャズを好んでいたようです。当時は珍しいジャズの輸入楽譜も弾いていましたから。クラシックしか響かない家庭では異端です。が、小山家にはさらに奇人がいたと知りました」

 探るうちに、母の父親の兄・高瀬真卿が浮上。講釈師を経て新聞記者・作家となり、権力批判記事を書いたために投獄され、その体験を基に東京感化院設立に奔走したという破天荒な人でもある。

「母の父親は、司法大臣まで務めた謹厳実直な人。一方、その傍らには本流や王道に行かず、どこにも属さず、我流で面白い方向へと進む大伯父・真卿がいた。この遺伝子が俺にもあるんだろうなあと妙に納得しましたよ」

 著者は中高時代、ご三家と呼ばれる進学校に通いながらも音楽にハマり、国立音楽大学作曲科に入るもジャズで騒ぎ、ジャズ界においてもフリージャズで旋風を巻き起こした。確かに、常に本流や王道ではないところに自ら身をおき、そのうえこよなく楽しむ傾向が……。

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