「ドファララ門」を上梓したジャズピアニストの山下洋輔氏に聞く

公開日: 更新日:

 世界的なジャズピアニストの源には、母の陽気さと好奇心があったのか。

「原点に戻ると、俺が生まれたときには既にピアノがあった。そのピアノはどこから来たのか、を初めて考えてみました。母の嫁入り道具でしたが、もともと母はジャズを好んでいたようです。当時は珍しいジャズの輸入楽譜も弾いていましたから。クラシックしか響かない家庭では異端です。が、小山家にはさらに奇人がいたと知りました」

 探るうちに、母の父親の兄・高瀬真卿が浮上。講釈師を経て新聞記者・作家となり、権力批判記事を書いたために投獄され、その体験を基に東京感化院設立に奔走したという破天荒な人でもある。

「母の父親は、司法大臣まで務めた謹厳実直な人。一方、その傍らには本流や王道に行かず、どこにも属さず、我流で面白い方向へと進む大伯父・真卿がいた。この遺伝子が俺にもあるんだろうなあと妙に納得しましたよ」

 著者は中高時代、ご三家と呼ばれる進学校に通いながらも音楽にハマり、国立音楽大学作曲科に入るもジャズで騒ぎ、ジャズ界においてもフリージャズで旋風を巻き起こした。確かに、常に本流や王道ではないところに自ら身をおき、そのうえこよなく楽しむ傾向が……。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった