「老耄と哲学」梅原猛著

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 子どもの頃から体が弱く、不摂生で3度もがんにかかったにもかかわらず、無事に卒寿の年を迎えた著者が、飽くなき好奇心をもとにさまざまな事象をつづった新聞連載エッセー。本書は東京新聞、中日新聞に20年を超えて連載されてきた「思うままに」シリーズの最新刊で、東日本大震災を挟んだ2010年8月から14年9月初めまでのエッセーが掲載されている。

 哲学者として日本を研究し「草木国土」と共生する思想をもとに「人類の哲学」を書く着想を得ていた著者は、震災で「人間に奴隷の如く酷使された自然の怒り」という考えが欠如していたことに気づいた。そして90歳となった今、死やボケに追いつかれる前に、日本のみならず世界の人々を幸福にする新たな哲学をつくらなければならないという決意を述べる。

 健康論、野球論、政治論、戦争論なども収録。小松左京や吉本隆明、湯川秀樹、岡潔ら、自らの思想を形作る上で影響を受けた人々とのエピソードも興味深い。

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