• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「おとめの流儀。」小嶋陽太郎著

 スポーツ小説は数多いが、なぎなた小説は珍しい。なぎなたの試合のルールについては、たとえば中学生のなぎなたの長さが、2メートル10~25と決められていて、試合は2分間であるなど、さりげなく織り込みながら物語が進んでいくので、何も知らなくても大丈夫だ。

 なぜここで中学生のなぎなたの長さが出てくるかといえば、本書が中学生小説だからである。廃部の危機に直面していたなぎなた部に入部した中学1年のさと子を主人公にした長編なのである。まず、寄せ集めた6人の部員のキャラが立っているのがいいし、公園のベンチにいつも座っている競馬おじさんや、朝子先輩に食って掛かる剣道部のキツネなどの脇役までもが活写されているのもいい。

 なによりもいいのは、このなぎなた部の目標だ。通常のスポーツ小説では、県大会や全国大会などで勝つことを目指していく。クライマックスはそういう試合であることが多い。しかし本書は、そういう大会を目標にしていない。彼らの目標はなんと剣道部を倒すこと。なぎなたと剣道の対決であるから、練習試合にすぎないのに、それが彼らの最大の目標なのだ。この異色の構造がいい。青春小説の佳作として読まれたい。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    沖縄県知事選で“黒歴史”隠し 佐喜真候補にもう一つの疑惑

  2. 2

    BTSとのコラボ中止に賛否 顔に泥塗られた秋元康“次の一手”

  3. 3

    台湾4割スラッガー王柏融めぐり 巨人vs阪神で争奪戦勃発

  4. 4

    屈辱の本拠地負け越し…巨人が東京ドーム嫌いになったワケ

  5. 5

    OBも疑心暗鬼 巨人・由伸監督“続投示唆”から急失速のナゾ

  6. 6

    “元彼”と同時引退? 幻に消えた安室奈美恵の「再婚」報道

  7. 7

    アマ競技で多発する不祥事 機能不全のJOCに解決できるのか

  8. 8

    花田家は崩壊寸前…貴乃花親方は協会批判し妻は見舞い拒否

  9. 9

    狙われる関ジャニ∞…錦戸&大倉“ベッド写真”流出の裏事情

  10. 10

    G由伸監督初の会見拒否から一夜…手負いの岡本と心中決断

もっと見る