日本酒の新しい味わい方を知る特集

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「日本酒テイスティング」北原康行著

 日本酒は複雑な酒だ。原料の組み合わせや蔵元の気候などさまざまな条件で、風味は多彩に変化する。和食の世界遺産認定を受け、日本酒に対する注目度も高まる昨今。気軽に飲んで楽しむのもいいが、その奥深さとじっくりと向き合う飲み方も悪くない。今回は、ソムリエが教える日本酒のテイスティング術をはじめ、日本酒の味わい方を知るための4冊を紹介する。

 ワインの風味は、「黒スグリのような」「干し草のような」など具体的に表現されるため、飲まなくてもおおよそのイメージが湧く。一方、日本酒は「さっぱり」「すっきり」「きりっとした」などとあまりにも抽象的で、飲んでみないと風味が分かりにくい。

 そこで、北原康行著「日本酒テイスティング」では、厳選26銘柄を題材に、日本酒を“ワインのように”解説。ワインソムリエであり日本酒利き酒師の世界一にも輝いた著者が、日本酒の風味を具体的にイメージできるようになるための分類法も伝授していく。

 日本酒の原料は米と水、麹に酵母。さらに醸造アルコールを加えることもあり、風味をより複雑にしている。しかし、ラベルに書いてあるエリア(どこで醸されたか)とタイプ(どんな種類か)の情報だけで、ある程度のイメージが分かるという。

 まずエリアから読み取れるのが、「エレガントスタイルか、パワフルスタイルか」ということ。エレガントとは雑味やクセがなく、香り高いがシンプルな酒。日本酒は低温でゆっくり発酵させると雑味なく仕上がるため、東日本など冷涼な土地に多い。逆に、パワフルは雑味がある酒で、これが複雑な香りや味わいの深さに結びつく。温暖な西日本に多く、ワインでいえばボディーがしっかりした重厚な酒ということになる。

 エリアに加えて、純米大吟醸や大吟醸など米をたくさん磨いた「吟醸タイプ」か、純米酒や本醸造などあまり米を磨かずに造る「非吟醸タイプ」かを知ることで、風味がより予測しやすくなる。米は磨くほどに雑味が減ってピュアな酒に仕上がるが、エレガントなはずの純米大吟醸酒も、西のエリアで造るほどパワフルに近づくので面白い。

 本書では、これらを踏まえたうえで日本酒をテイスティングしていく。例えば、福島県は会津の「寫楽(しゃらく) 純米酒」。パワフルスタイルであり、非常に強い香りは熟した洋ナシやメロンのよう。しかし、北国で造られているため雑味はなく、後味は淡くエレガントに仕上がっているという。

 とりあえず日本酒を1本買い、テイスティングしてみてほしい。エリアやタイプ別の風味の違いが実感できれば、日本酒選びがどんどん楽しくなるはずだ。(日本経済新聞出版社 870円+税)



「物語で知る日本酒と酒蔵」友清哲著

 日本酒はただ気持ちよく飲んで酔っぱらうのもいいが、造り手や蔵の背景を踏まえたうえで味わうと、よりうまさが染みてくるもの。本書では、全国から厳選した29の酒蔵の“酒物語”を紹介している。

 青森県最古の酒蔵として知られる竹浪酒造店で現在造られているのは、「岩木正宗」と「七郎兵衛」の2銘柄。しかし、どちらも中身は同じだという。実は、歴代当主の名前を冠した「七郎兵衛」は問屋を通さずに売られており、日本酒の扱いに慣れた確かなルートのみに流通させている。日本酒というナマモノのベストな味を消費者に知ってほしいという同店の狙いによる戦略で、「岩木正宗」より「七郎兵衛」の方がうまいという顧客が急増中だという。

 飲み屋でちょっと語りたくなる物語が満載だ。(イースト・プレス 800円+税)



「本気で知りたい!日本酒」洋泉社MOOK

 日本酒を知るための基礎であるラベルの読み方から、低アルコール化などの最新トレンド、そして種麹の作り方などのマニアックなものまで、さまざまなジャンルの日本酒学を解説。日本酒新時代の牽引役である若手の蔵元や杜氏も紹介されている。

 さらに、季節ごとの“飲み分け術”も解説。寒い冬にうまく感じるのが、凝縮感の高い「熟酒タイプ」の日本酒で、ドライフルーツやスパイスのような濃厚な風味が特徴だ。味の濃い料理ともよく合い、古酒や長期熟成酒と表記されているものがそれに当たる。

 寒さが緩む春は、華やかな香りの「薫酒タイプ」を選ぶとよい。大吟醸酒や吟醸酒に代表される日本酒で、甘い果実や花のような香りで味わいも軽快。春に出回る山菜やハーブとも相性がいいそうだ。(洋泉社 1200円+税)





「No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方」田崎真也著

 テレビでもお馴染みのソムリエが、日本酒120種類をテイスティング。相性のいい料理なども取り上げながら、日本酒の味わい方を解説・指南する。

 原料米や醸造方法による風味の違いもさることながら、日本酒は使用する酵母によっても特徴が変化していくというから興味深い。1930年に秋田県の新政酒造のもろみから分離され、日本醸造協会から頒布されている最古の酵母「協会6号酵母」は低温でも発酵力が強く、出来上がる酒はリンゴや洋ナシ風のまろやかな果実香を生み出す。この酵母を使った日本酒はフレンチにもおすすめで、白身魚の料理と相性がいいと著者。

 近頃人気のスパークリング清酒や、低アルコール日本酒の味わい方も紹介する。(SBクリエイティブ 800円+税)



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