著者のコラム一覧
石原壮一郎

1963年、三重県生まれ。著書「大人養成講座」「大人力検定」などで、日本の大人シーンを牽引している。最新刊「大人の言葉の選び方」も好評!

小田嶋節炸裂、禁断の味のコラム集

公開日: 更新日:

「ザ、コラム」小田嶋隆著 晶文社 1500円+税

 おそれながら、「コラムニスト」を名乗っている自分にとって、小田嶋隆さんのコラムは常にまばゆく輝いている特別な存在です。ひれ伏しながら拝読するたびに、胸を打たれたり、膝を打ったり、大きくうなずいたり、忙しくてたまりません。

 そんなコラムの神様の小田嶋さんが、2006年から2014年のあいだに発表して、単行本に収められていなかった大量の原稿から、自分で35本を厳選。「これぞコラムの金字塔。」という帯のコピーは、決して大袈裟ではありません。

 例えば、最初に掲載されている「天国への団塊」(「日本の論点2006」所収)。団塊世代へのねじ曲がった怨嗟が、華麗なレトリックを伸び伸びと駆使して鮮やかに展開されています。

「アレですね。永遠の勝ち組。年金踏み倒しを武勇伝として語ってしまえるメンタリティー。やんちゃ、ちょい悪を肯定的な資質として自慢できちゃう集団的厚顔無恥。徒党組んだら勝ちだからな、この国は。」

 こうした小田嶋節炸裂のくだりを読むと、日本語の素晴らしさ、日本に小田嶋さんがいてくれるありがたさを痛感せずにはいられません。

 もともとコラムというのは、時々の話題をテーマに、意表を突いた見方や、考えを整理するヒントを与えてくれるものです。

 それはそれとして、あえて時間が経ってから、倖田來未羊水発言問題(2008年)や朝青龍バッシング(2009年)について書かれた原稿を読むのも、またオツなもの。

「なんだったんだろう、あの騒動は」と冷めた目で見ることで、翻って今世間で熱く語られている問題に対して、落ち着いた視点を持つことができます。

 洋楽の名曲が各章のタイトルになっているあたりも含めて、小田嶋隆が凝縮された一冊。そのコラムとまだ出合っていない方も、ひとたび知ったら抜けられない禁断の味をご賞味ください。

【連載】イカした中年を養成する大人の必読本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 2

    萩生田光一氏「石破おろし」がトーンダウン…自民裏金事件めぐり、特捜部が政策秘書を略式起訴へ

  3. 3

    参政党は言行一致の政党だった!「多夫多妻」の提唱通り、党内は不倫やら略奪婚が花盛り

  4. 4

    【夏の甲子園】初戦で「勝つ高校」「負ける高校」完全予想…今夏は好カード目白押しの大混戦

  5. 5

    早場米シーズン到来、例年にない高値…では今年のコメ相場はどうなる?

  1. 6

    落合博満さんと初キャンプでまさかの相部屋、すこぶる憂鬱だった1カ月間の一部始終

  2. 7

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  3. 8

    伊東市長「続投表明」で大炎上!そして学歴詐称疑惑は「カイロ大卒」の小池都知事にも“飛び火”

  4. 9

    “芸能界のドン”逝去で変わりゆく業界勢力図…取り巻きや御用マスコミが消えた後に現れるモノ

  5. 10

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も