「外科医の腕は 何で決まるのか」羽鳥隆著
このところ、「手術をすると寿命が縮まる」「手術なんて受けない方がいい」といった誤った情報に惑わされ、手術を否定的に考える人もいる。世間にはびこるそんな誤解を、国際医療福祉大学三田病院教授で、肝・胆・膵(肝臓・胆道・膵臓)を専門にする外科医が解いていく。
著者が考える「名医」とは、「自分や自分の家族ががんになったとき、安心して手術を任せられる人、任せてダメでも諦めがつく人」だという。そういう医者は、患者の側に立った治療を行っていて、自分の手術件数を増やすために無理に手術はしない。
また、「病気の見立てが正確」で、検査画像を的確に読み込み、がんがどこまで広がっているか、手術が可能か、どういう手術をすればいいかをきちんと診断できる。そして、病態に応じたいろいろな手術のやり方を熟知していて、なおかつ実際に手術ができる。患者に備わっている自然の治癒力を引き出すサポート=適切な治療に徹することができる。
こうしたポイントをクリアできる医師が名医だという。腕のいい外科医に出会うために覚えておきたい知識が詰まった一冊だ。(幻冬舎 780円+税)