世界中を旅して暮らしてきた著者は、東京でたった一杯のコーヒーに時間と集中力と情熱を傾ける男に出会った。日本の食文化を職人が支えていることを知って、著者は職人がやっている店を選ぶようになる。
例えば、大阪の〈電撃ホルモン ツギヱ〉。椅子のない立ち飲みの店だ。著者はごま油とネギで和えた、生でぬるぬるしているセンマイから始める。
続いてバラ色の脇腹肉のステーキとカルビ、ゆずこしょうを添えた細切りの生のハツ……。昼間はたばこ屋、夜はイタリア居酒屋の〈(食)ましか〉では大根おろしとサンマのタタキがのったスパゲティ。
ダイエットの決心など吹っ飛んでしまう食べ歩き本。
(扶桑社 1800円+税)