「コンピュータが小説を書く日」佐藤理史著

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 囲碁プロ棋士との対局や東大受験などで昨今注目を集めている人工知能(AI)。昨年3月に開かれた「星新一賞への応募報告会」では、コンピューターを利用して作成されたショートショートが1次選考を通過したことが報告された。AI小説家とマスコミが色めき立つなか、当の研究者はその期待と誤解に戸惑う。本書は、コンピューターによる文章生成を研究していたグループが、星新一賞への応募を目指して試行錯誤した経緯と、現時点での成果を明かしたリポートだ。

 今回の応募作は「世界構築(時間と空間と人物とイベントの設定)」「テキストプラン(どの要素をどの順番で登場させるか)」「テキスト生成(どう語るか)」の組み合わせで小説ができるという構想の下で作られた人間とコンピューターの合作であるため、AI作家の誕生とは言い難い状況だと著者はいう。

 だが、パターンが存在する新聞記事やメール、天気概況等なら自動生成が容易だと指摘している点は興味深い。(日本経済新聞出版社 1500円+税)

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