「1分間に400字」が伝わる話し方の奥義

公開日: 更新日:

 大切な商談やプレゼンがどうにもうまくいかない。その原因は提案や資料の内容ではなく、あなたの話し方にあるかもしれない。浅沼道郎著「ゆっくり話すだけで、もっと伝わる!」(朝日新聞出版 1300円+税)では、名古屋テレビ放送の名物アナウンサーが、トークの達人になれるプロの技を伝授している。

 話すスピードひとつでも、相手への伝わり方が変わる。人がもっとも聞きやすいと感じるのが、1分間に400字を話すスピードだという。アナウンサーもこれを基準とし、迫力が必要なスポーツ実況では1分間に600字など、変化をつけているそうだ。とはいえ、素人がすぐに1分間400字ペースを身に付けるのは難しい。

 そこでお勧めなのが、まずは15秒間で100字話すペースを覚えること。原稿用紙に文章を書き、これを読む練習をしてみよう。厳密に100字でなくてもいいが、すべてひらがなで書くこと。15秒の感覚を叩き込めば、長いスピーチでも伝わりやすいスピードが分かってくるはずだ。

 滑舌も伝わり方に大きく影響する。舌足らずとまではいかないが、何となく聞き取りにくい話し方をする人が周りにいないだろうか。これは、一語一語の歯切れが悪いことが原因であるという。国会中継などを見ていると、話の内容が頭に入ってこない話し方をする政治家がいるものだが、「安保法案にぃ、つきましてはぁ、国民のぉ」というように、母音が伸びて歯切れの悪いことが多い。一方、小泉純一郎氏や橋下徹氏が人気を集めたのは、内容にかかわらず、非常に歯切れの良いスピーチをしていたからだと著者。

 滑舌は、ちょっとした工夫でよくすることが可能だという。それは、常に口のかたちを意識して話すこと。原稿を見て話す際には、すべての漢字にふりがなを付けるといい。例えば、「平仮名」と「ひらがな」という表記では、後者のほうが口のかたちに意識が向くはずだ。競走馬の名前を、スピードは気にせず、正確に発音する練習もお勧めだという。

 ほかにも、語彙を増やす、表現力を高めるなど、伝わる話し方の技が満載だ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘