フクシマから6年 政権が亡きものに葬ろうとする“あの記憶”

公開日: 更新日:

「フクシマの荒廃」アルノー・ヴォレラン著、神尾賢二訳

 3・11当時、原発事故の実情については日本の大マスコミよりも海外メディアのほうがはるかに頼りになったことはよく知られている。その現実はいまも同じ。本書は仏「リベラシオン」特派員が見たフクシマリポート。単なる旅行者としての報告ではなく、12年から日本に在住し、その生活実態を体験しつつの報告だ。

 そこで著者は原発の作業員や組合活動家らにもていねいに取材し、崩壊した原子炉の前に責任者が仁王立ちになりながら白い作業服を着た下請けの面々に過酷な作業を強いる姿に肉薄している。話題になった漫画「いちえふ」と同じ現実を、来日4年の外国人記者も見ているのだ。(緑風出版 2200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較