「安全保障は感情で動く」潮匡人著
英国のEU離脱やトランプ米大統領誕生に見られるように、「反グローバリズム」や「反エスタブリッシュメント」「ポピュリズム」と呼ばれる感情的な要素が安全保障の不安定要因となっている――と指摘する著者が、互いに挑発を繰り返すトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長の心の内を読み解きながら、朝鮮半島危機を解説する国際関係リポート。
トランプ政権が生まれた背景を分析し、政権誕生後のトランプ大統領の講演やツイートを読み解きながら、世界にとって米国こそが、安全保障上の最大の懸念になっていると指摘。
一方、ミサイル技術に関する部下の報告をうのみにした金委員長が、米国に対する戦略的抑止力を確保したと過信・誤認した可能性が高く、新たな大戦に向かう世界の危機を直視する。(文藝春秋 830円+税)