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美女教師めあてに男子生徒が次々と合唱部へ

「くちびるに歌を」中田永一著 小学館文庫 619円+税

【話題】吹奏楽の世界では、「吹奏楽の甲子園」といわれた「普門館」(現在は名古屋国際会議場センチュリーホール)を目指すことが大きな目標となっているが、合唱の世界でかつての普門館に当たるのがNコン(NHK全国学校音楽コンクール)だ。

 本書はそのNコンを目指す長崎県五島列島にある中学校の合唱部が舞台である。

【あらすじ】仲村ナズナは、五島列島のある中学校の合唱部員。それまで部には女性しかいなかったが、顧問の先生が産休となり、代わりに柏木という音楽教師がやってきたことで事態は一変する。

 とびきりの美人である柏木を目にしたことで、彼女が顧問を務める合唱部に男子が次々に入部を希望してきたのだ。末期がんの母親を放って愛人のもとへ走った父親のせいで男性不信に陥ったナズナは、不純な動機で入ってきた男子を許せない。

 一方の桑原サトルは自閉症の兄を持ち、自分もなるべく他人と関わらないように「ぼっち」を通してきた。それなのに偶然の悪戯で合唱部に入部することに(彼だけが柏木目当てではなかった)。

 物語はナズナとサトルの交互の視点で進んでいく。Nコンの課題曲はアンジェラ・アキの「手紙~十五の君へ~」に決定し、柏木は生徒全員に15年後の自分に宛てた手紙を書かせて盛り上げていくが、女子部員と男子部員に深刻な対立ができてしまう。それでもなんとか問題を解決し、ナズナたちはNコン九州大会会場の佐世保へと乗り込んでいく……。

【読みどころ】男性不信のナズナと自分を不要の人間と思い込むサトル、他のそれぞれの悩みを抱える部員たちが歌を通して心を開いていく様子は、予定調和を超えて感動をもたらす。これこそが歌の力か。

 2015年、新垣結衣主演で映画化されている。
<石>

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