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部員獲得のため、三角関係の幼馴染みが奔走

「退出ゲーム」初野晴著 角川文庫 560円+税

 弱小吹奏楽部が吹奏楽の“甲子園”普門館を目指すというのは、青春音楽小説の定番だ。ところが本書の清水南高校吹奏楽部の部員はわずか9人、まさに廃部寸前。練習も何も、まずは部員集めから始めなければならない。ということで、物語の中心は部員集めの苦労話という、ちょっとユニークな仕立てになっている。

【あらすじ】語り手の穂村千夏は高校1年生のフルート奏者。中学時代は、年中無休、24時間営業の日本企業のようなバレーボール部に所属していたが、高校入学を機に、密かに憧れていた吹奏楽部の門を叩く。

 だが、いざ入ってみたらまさかの部員不足。これではいけないと部員集めに張り切る千夏だが、それはこの春から新任の音楽教師となった草壁の存在が大きかった。国際的な指揮者として将来を嘱望されていた草壁は、なぜか突然姿を消し、数年後に千夏たちの高校にやってきた。千夏はその草壁を再び表舞台に立たせたいと思ったのである。

 しかし、千夏には強力なライバルがいた。同じ吹奏楽部のホルン奏者で幼馴染みの上条春太だ。春太は、きめ細かな肌に艶のある髪、すっと通った鼻筋と長いまつげ、おまけに二重まぶたと女の千夏が切望していたパーツを持つ美形。その春太も密かに草壁に思いを寄せていた。ややこしい三角関係ながら、目的は一緒ということで、2人は協力して部員集めに奔走する――。

【読みどころ】面白いのは、新部員を獲得するにはミステリーを解決しなければならないという趣向。6面すべてが白いルービックキューブの謎、幻の色といわれるエレファンツ・ブレスの謎などを、千夏=ワトソン、春太=ホームズのコンビが見事に解決していく。この春、映画にもなった「ハルチカ」シリーズの第1弾。<石>

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