「咲き定まりて」清野恵里子著
来年は市川雷蔵没後50年。いまだに多くの人々を魅了し続けている映画スターは希少だ。23歳で映画界入りして37歳の早すぎる死までの15年間に150本以上の作品に出演した雷蔵の軌跡は、まさに日本映画の黄金期の終焉を告げる一閃の光芒といえる。
本書は、雷蔵が出演した作品の中から、デビュー2年目の「新・平家物語」から亡くなる前年の「ひとり狼」までの28作品を選び、内容を紹介しながら、その時々に雷蔵がどのように役づくりをしてきたのか、プログラムピクチャーという制約の中で自分の望む作品を実現していくしたたかさぶりなども紹介されている。着物に関する本を多くものしている著者だけに、映画に登場する衣装や美術に関しては詳細をきわめ、本書の読みどころのひとつ。
「眠狂四郎」や「忍びの者」の剣豪ものの印象が強い雷蔵だが、三島由紀夫の「金閣寺」をもとにした「炎上」や井原西鶴の「好色一代男」などで見せる顔はスターではなく名役者のもので、従来のイメージをいい意味で覆してくれる。
(集英社インターナショナル 2400円+税)


















