「最新プロレス本」特集

公開日: 更新日:

「U.W.F外伝」平直行著

 古くは力道山に始まり、その時代時代のスターを輩出して人々を熱狂させてきたプロレスだが、その長い歴史の中にはさまざまな浮き沈みもあった。総合格闘技全盛時代を経て、再び人気を取り戻したプロレス関連本5冊を紹介する。

◇

 プロレスから総合格闘技に至るまでの30余年の変遷を、当事者の一人であった格闘家が自らの半生を振り返りながらつづる日本総合格闘技史。

 プロレスラーを目指して仙台から上京した氏は、1984年、新団体「UWF(ユニバーサル)」の「無限大記念日」を観戦。その格闘技スタイルの新しいプロレスに感動し、タイガーマスクこと佐山聡氏のジムに入会する。しかし、ジムが閉鎖されてしまったため、UWFの門を叩く。そこでUWFもすべてが真剣勝負ではないことを教えられた氏は、再開した佐山氏のジムに戻りインストラクターに抜擢される。

 以後、佐山氏の起こしたシューティングやK―1のリングに上がり続けてきた著者が、前田日明やアンディ・フグら格闘家とのエピソードを交えながら、総合格闘技が生まれ、定着するまでを記録する。(双葉社 1500円+税)

「プライド」金子達仁著

 1997年10月11日、東京ドームで行われた伝説の試合「高田延彦×ヒクソン・グレイシー」戦をテーマにしたスポーツ・ノンフィクション。

 その2年前、プロレスラーとして、そして自ら立ち上げた団体を経営する社長として岐路に立たされていた高田は、密かに引退を考えていた。

 ある夜、興行先の名古屋で初対面だった企画会社の社員・榊原信行氏に、「ヒクソン・グレイシーか、マイク・タイソンと戦ってから引退したい」とそれまで誰にも話したことがない胸の内を明かす。

 奇遇にも榊原氏は、その時は伝えなかったが、数日後に400戦無敗といわれたヒクソンと面会の予定があった。翌日、高田に改めて意思を確認した榊原は、その実現に向けて動き出す。高田・ヒクソン・榊原……3人の男たちの「プライド」をかけた戦いの軌跡を描く。(幻冬舎 1500円+税)

「2011年の棚橋弘至と中邑真輔」柳澤健著

 2000年代前半、壊滅の危機に陥った新日本プロレスに再び輝きをもたらした2人のトップ・プロレスラーの生きざまを描くノンフィクション。

 1980年代後半に新日本プロレスの人気はガタ落ちしていたが、エンターテインメントとしてのプロレスを追求することによって人気が復活。しかし、政界に進出していたオーナーのアントニオ猪木氏が再びプロレス界に戻り、格闘技路線に変更したため、レスラーの移籍などが相次ぎ、ファン離れが起きた。そんな中、99年に棚橋が、02年に中邑が入団。棚橋はプロレスを中年男性の娯楽から女性や子供も楽しめるエンターテインメントへ変えることを目指す。

 一方、最年少でIWGPへビー級王者になった中邑はストロングスタイルのプロレスを志向。スタイルもプロレス観も異なる2人のプロレス人生を克明に描く。(文藝春秋 1800円+税)

「プロレスが死んだ日」近藤隆夫著

 金子氏の著書とは、異なる視点から1997年の「高田×グレイシー」戦を描いた一冊。

 対戦の3カ月前、開催が公式発表されたが、プロレス界の反応は好意的ではなかった。プロレス界のトップ選手がヒクソンにリアルファイトで挑み敗れたら、ファンが離れ、総合格闘技に流れていくのではないかと恐れたからだ。主催者が「高田延彦を男にするため」に奔走して実現した対戦は、一方で「プロレスラーは本当に強いのか」を衆目の前で証明することがテーマになっていった。

 いつものプロレス観戦とは異なる思いを抱いて会場に足を運んだファンの思いも二分されていた。高田が絶対に勝つという「期待」と、プロレスの最後を見届け、別れを告げる「惜別」の思いだ。その後の格闘技界の景色を一変させた20年前の伝説の一戦が蘇る。(集英社インターナショナル 1600円+税)

「新編 泣けるプロレス」瑞佐富郎著

 かつてプロレスラーの鈴木健三(現・KENSO)氏は、総合格闘技への転向の可能性を問う著者に「総合格闘技は強者を称えるスポーツ。プロレスは弱者を勇気づけるジャンルだから」と答えたという。

 本書は、そんなプロレスに魅せられたレスラーたちの心の真実に迫るエピソード集。

 1969年、26歳で当時世界最高峰のNWA世界王座に挑戦したドリー・ファンク・ジュニアとの死闘と、その20年後に参院選に出馬したアントニオ猪木の人生の節目となった2つの戦いをはじめ、2005年に逝去した破壊王・橋本真也と父と同じ道を歩むその息子・大地選手の物語、新日本プロレス在籍時代に中邑真輔、棚橋弘至とともに「新・闘魂三銃士」と呼ばれた柴田勝頼の知られざる若き日の一日の出来事など、28話を収録。(スタンダーズ・プレス1400円+税)

【連載】ザッツエンターテインメント

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • BOOKSのアクセスランキング

  1. 1

    渋さと垣間見える緩さが紛れもなくパトレイバー│「『機動警察パトレイバー』寿司屋の後藤」伊藤和典著

  2. 2

    マリー・アントワネットは洞窟から「王妃の村里」へ│「驚異の隠し部屋世界各地の内緒の部屋・秘密の抜け道・迷宮・秘宝」ステファン・バックマンほか著 片山美佳子訳

  3. 3

    詩をはじめる本屋 蒼枯(東中野)「自分が詩で感じたことをベースに他のジャンルのものを引っ張ってくるみたいな」

  4. 4

    これは斬新!テーマがユニークなアンソロジー小説特集(3)ひとりの食事はこんなに豊かで楽しい!

  5. 5

    松下隆一(作家)とにかく養老孟司さんの答えが目から鱗

  1. 6

    (60)これを佐助に着せてやってくれ

  2. 7

    現実の地面師事件はドラマ以上に複雑 「地面師VS.地面師 詐欺師たちの騙し合い」森功著

  3. 8

    反動の宗教右派(1)最も近代化を果たし、かつ宗教的でもあるアメリカ

  4. 9

    「極限の漂流118日間」ソフィー・エルムハースト著 村井章子訳│野生動物のように必死に生きたかけがえのない時間

  5. 10

    「ソフト対策である情報は受け手側が積極的に活用する必要があります」──「豪雨災害から身を守る」牛山素行氏

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北陸最大の観光都市・金沢駅の「みどりの窓口」が大混雑、平日11時で32組待ち…現場で見えてきた順番待ちが減らない構造的問題

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    東海道新幹線にシニア向け割引登場 交通費を抑える「EX」利用術

  4. 4

    週刊文春が追い続けるプルデンシャル生命の闇…ここは企業ではなく「犯罪者養成所」だった!

  5. 5

    【阪神】2026年 戦力外通告選手一覧

  1. 6

    愛子さまカレンダーが発売前から「1位」の人気…佳子さま「27年版」は見当たらず、皇室カレンダーに映る“世代交代”

  2. 7

    わずか4カ月弱でもう最終工程…米国産ジャガイモ輸入解禁議論の異常なハイスピード感

  3. 8

    どうした川口春奈? CM女王の最近の出演作が《ダサすぎて見ていて辛い》とファン落胆

  4. 9

    シリーズ 保阪メモ「昭和史余話」(48)わずか2カ月余だが戦争回避、平和解決の可能性があった

  5. 10

    【ソフトバンク】2026年 戦力外通告選手一覧

おすすめ求人情報

コールセンター「テレフォンオペレーター」/土日祝休大手で働く クレカの問合せ対応 10名募集
株式会社アヴァンティスタッフ 東京都 中野区 派遣社員
時給1,650円
「年収600万円以上」「旭川」開発・設計 ~土日祝休/年休122日~
不二技研工業株式会社 北海道 正社員
年収600万円~900万円
一般事務/鶴見月収27万円~可/電話少なめの入力事務 土日祝休 一般事務・OA事務
ランスタッド株式会社 神奈川県 横浜市 派遣社員
時給1,620円
産業用や建設機械向けの鋼材を製造するスタッフ/土日祝休/プライベートをしっかり確保
北陸スチール株式会社 石川県 能美市 正社員
月給18万8,500円
Sponsored by 求人ボックス