「甘いもの中毒」宗田哲男著

公開日: 更新日:

 “スイーツを食べるのがやめられない!”という男性はそう多くないだろう。しかし、糖質たっぷりの炭水化物はどうか。パンや麺はもちろん、丼物を食べるとストレスが吹き飛ぶという経験はないだろうか。

 糖質を取ると、脳内は麻薬を摂取したときと同じような状態になる。欲求が満たされたときに活性化する中脳皮質にある「報酬系(A10神経系)」が刺激され、ドーパミンが分泌されて強い快感に似た感覚をもたらすのだ。麻薬ほど強力ではないものの、糖質によるドーパミンの分泌が続くと、脳は適量を判断できなくなり、本人の意思にかかわらず摂取量を増やそうとする。炭水化物がやめられないという人は、すでに糖質中毒になっている恐れもあるのだ。

 糖質の過剰摂取は、糖尿病以外にもさまざまな弊害をもたらす。最近注目されているのが、ブドウ糖と細胞のタンパク質が体温で加熱されて結びつく「糖化」という現象。糖化が進んだ部位では強い毒性を持つ「終末糖化産物(AGE)」が産出され、急激に老化を早める。結果、骨粗しょう症や白内障心筋梗塞脳梗塞のリスクを高めるといわれているのだ。

 どうしても糖質の誘惑に負けてしまうという人には、鉄分とビタミンB群の補給が有効だと本書。体内でエネルギーを作り出すミトコンドリアを活発にし、糖質制限時のイライラも和らぐ。炭水化物は現在の半分に抑えて、肉や卵、チーズをたっぷりと取るのがお勧めだ。“甘い誘惑”からは今すぐ抜け出すべし。(朝日新聞出版 780円+税)


【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾