「半分生きて、半分死んでいる」養老孟司著

公開日: 更新日:

 ある日、学生から「もう死んだと思ってました」と話しかけられたという著者。本人はまだ元気なつもりでも、実情ではすでに死亡済み――そう思えば気楽なもので先行き世界がどうなろうと知ったことではないという氏が、気ままに世相を斬る時評エッセー。

 ある本で、預金に利息がつかないのは実体経済に発展の余地がなくなったからだと知り大いに納得。要するに経済自体が煮詰まったからだ。見渡せば、首相が憲法を改正したがっているのも安全保障をめぐる議論が煮詰まったからで、原発問題も煮詰まったまま議論が動かない。人口減少も高齢化も、世の中が煮詰まったことが分かっているからヒトが減るのだろうと推測する。

 皮肉とユーモアを利かせながら現代社会を見つめる。

(PHP研究所 860円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “芸能界のドン”逝去で変わりゆく業界勢力図…取り巻きや御用マスコミが消えた後に現れるモノ

  2. 2

    落合博満さんと初キャンプでまさかの相部屋、すこぶる憂鬱だった1カ月間の一部始終

  3. 3

    渡辺謙63歳で「ケイダッシュ」退社→独り立ちの背景と21歳年下女性との再々婚

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    米価高騰「流通悪玉論」は真っ赤なウソだった! コメ不足を招いた農水省“見込み違い”の大罪

  1. 6

    大阪万博は鉄道もバスも激混みでウンザリ…会場の夢洲から安治川口駅まで、8キロを歩いてみた

  2. 7

    悠仁さま「9.6成年式」…第1子出産の眞子さん、小室圭さんの里帰りだけでない“秋篠宮家の憂鬱”

  3. 8

    参政党議員「初登院」に漂った異様な雰囲気…さや氏「核武装」に対しゼロ回答で現場は大混乱

  4. 9

    ダルビッシュの根底にある不屈の反骨精神 “強いチームで勝ちたい大谷”との決定的な違い

  5. 10

    悠仁さま「友人とガスト」でリア充の一方…警備の心配とお妃候補との出会いへのプレッシャー