「死の島」小池真理子著

公開日: 更新日:

 編集者だった澤登志夫は69歳。腎臓がんの宣告を受け、カルチャースクールの講師を辞める。最後の授業の後、小説のクラスの受講生だった宮島樹里に声をかけられた。澤にほめられた樹里の短編「抹殺」は、実は彼女の幼時の体験に基づくという。それは夫に見向きもされない母の寝室を祖父が訪れるという衝撃的な内容だった。そして樹里の住まいは澤の住まいに近いことを知った。

 2日後、澤はかつての不倫相手の妹から、姉が亡くなり、「ベックリーン 死の島」という画集を澤に残したと伝えられた。その後、澤はしゃれたボールペンをもらった礼を口実に、樹里にメールを送る。26歳の女と出会った、初老の男の末期の覚悟を描く。

(文藝春秋 1700円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  2. 2

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  3. 3

    広陵問題をSNSの弊害にすり替えやっぱり大炎上…高野連&朝日新聞の「おま言う」案件

  4. 4

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  5. 5

    夏の甲子園V候補はなぜ早々と散ったのか...1年通じた過密日程 識者は「春季大会廃止」に言及

  1. 6

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 7

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  3. 8

    福山雅治“ローション風呂”のパワーワード炸裂で主演映画とCMへの影響も…日本生命、ソフトBはどう動く?

  4. 9

    参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり

  5. 10

    国民民主党・玉木代表が維新にイチャモン連発! 執拗な“口撃”は焦りの裏返しなのか?