バラエティー豊かな日本の地下街

公開日: 更新日:

「知られざる地下街」廣井悠、地下鉄減災研究会著

 あまり知られてはいないと思うが、日本は世界最大の地下街大国でもある。都心部の地価が高いのがその理由だが、現在、全国に80カ所もの地下街があるそうだ。

 地下街の成り立ちから、意外と知られていない豆知識、そして各都市の地下街の魅力などを紹介する、ありそうでなかった地下街本。 

 そもそも地下街とは、駅前広場や道路、公園などの公共用地の地下にある店舗と通路の合わさった施設を指す。店舗の部分が民有地で通路の部分が公共用地の場合は「準地下街」、店舗・通路とも民有地の地下にあるものは「地下階」と区別される。

 日本で最初の地下街は、1930(昭和5)年に現在の銀座線を開業させた「東京地下鉄道」が上野駅に設けた「地下鉄ストア」。以後、2年後には「須田町ストア」、さらにその翌年には「室町ストア」と「日本橋ストア」(今はその一部が「コレド室町」になっている)と続々と開業し、高度経済成長期には大都市から地方の中核都市へと広がっていったそうだ。

 地下街と聞くと、距離が長く、いくつにも分岐し、大きなものになると方向感覚さえ失いそうだが、中には通路の長さわずか25メートル、幅2・4メートルという小さな地下街もある。名古屋市営地下鉄金山駅の中にある「金山商店街」がそれだ。

 また今年開業50周年を迎える高速神戸駅の地下街「メトロこうべ」には、なんと間口40メートルという超横長のコンビニがあるそうだ。

  そんな各地の地下街を紹介する一方で、地下空間に閉ざされるがゆえに利用者が恐怖を感じる地下街の防災への取り組みや、また災害時の避難場所としての地下街の役割などにも言及。一読すれば、普段利用している地下街への見る目が変わるはず。

(河出書房新社 1600円+税)

【連載】発掘おもしろ図鑑

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁