βカロテンでがんリスクアップ、果物で糖尿病予防

公開日: 更新日:

「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」津川友介著

「βカロテンは健康にいい」「フルーツジュースは美容にいい」「炭水化物は食べると太る」などの情報を信じているなら、ぜひ本書を読んでほしい。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)内科学助教授の著者が、最新の食の常識を教えてくれている。

 緑黄色野菜に豊富なβカロテンにはがん予防効果があると考えている人は多いだろう。しかし、これは半分正解で半分間違いだ。1990年代、喫煙者及びアスベスト曝露のある人たちを対象としたβカロテンのサプリメント効果を評価する実験が行われている。すると、βカロテンは肺がんを予防するどころかリスクを上昇させることが明らかになり、心筋梗塞のリスクまで高めることが分かってしまったという。

 一方で、βカロテン豊富な緑黄色野菜をたっぷりと摂取している人には、胃がんや肺がんが少ないことも報告されている。この結果が意味するものは、「成分」ではなく「食品」に注目して摂取するべきということだ。

 フルーツジュースを飲んでいる人は糖尿病リスクが高いが、果物自体を頻繁に取っている人ほど糖尿病リスクが低いことも明らかになっている。食品を加工せず丸ごと食べることで食物繊維が同時に摂取でき、血糖値を上げずにその他の成分を摂取できるためだ。

 近年“肥満の元凶”のように言われている炭水化物の中にも、糖尿病や動脈硬化リスクを下げるものもあると本書。本当に体に良い食事とは何か、改めて学び直したい。(東洋経済新報社 1500円+税)


【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動