「大ぼら吹きの城」矢野隆著

公開日: 更新日:

 藤吉郎は、清洲城主・織田信長の小者頭で、身分は低いものの大きな野心を抱いていた。そんな藤吉郎が美しい娘に一目惚れする。娘は織田家弓衆の浅野又右衛門の養女・於禰。身分違いもなんのその、藤吉郎は「儂は天下人になる男じゃ」と大ぼらを吹き、嫁になってくれと迫る。

 最初は相手にしなかった於禰だが、藤吉郎のしつこさに負け、2人は夫婦に。この結婚を機に、藤吉郎の運は開けていく。

 手始めに、かつて縁のあった木曽川流域に根を張る川筋衆を束ねる蜂須賀小六を味方に引き入れ、その褒賞として鉄砲足軽の組頭に。次いで美濃攻めの要衝、墨俣城築城を買って出る。築城は敵方の妨害に遭って何度も頓挫していたが、藤吉郎は自分なら短時日で城を築いてみせると大言壮語。皆がほら吹きめとバカにする中、藤吉郎は蜂須賀小六ら川筋衆の力を借りてこの難題に挑む……。

 世にいう「墨俣一夜城」の伝承を中心に、舌先三寸で乱世を生き抜く若き秀吉の姿を清新に描いた長編歴史小説。

(KADOKAWA 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • BOOKSのアクセスランキング

  1. 1

    暑さを忘れて謎解きに没頭!ミステリー文庫特集(3)プロが厳選する年に1度の短編集 「本格王2026」本格ミステリ作家クラブ選・編

  2. 2

    漫画一筋の人生は日本の漫画史そのもの「劇画の巨星 川崎のぼる伝」読売新聞西部本社文化部著

  3. 3

    「身近にあるドラッグ的なものや脱法性に自覚的になることが大切」──「脱法」磯部涼氏

  4. 4

    コ本や(神楽坂)店主は東京芸大大学院出身アーティストで中原中也賞受賞の詩人

  5. 5

    「史上最強にわかりやすくて面白い ぶっ続け日本史講義10時間」伊藤賀一著/フォレスト出版(選者:中川淳一郎)

  1. 6

    さまざまな無住化した集落──多種多様の廃村の姿を伝える 「廃村大全」浅原昭生著、中田薫編

  2. 7

    「『鮎戦記』有岡只祐」世良康著

  3. 8

    「安倍晋三 平成・令和の光と闇」服部龍二著/中公新書(選者:佐藤優)

  4. 9

    暑さを忘れて謎解きに没頭!ミステリー文庫特集(2)あの長編ユーモアミステリーの傑作が復刻「殺人がいっぱい 復刻版」辻真先著

  5. 10

    修繕積立金の怪(1)積立金の上昇はマンションの価格の下落「その家、買ってはいけない」滝島一統著

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中村倫也が「風、薫る」に大貢献…妻・水卜麻美アナとの「ずっと仲良く」「にこやかな」近況

  2. 2

    欧州初の日本人指揮官誕生へ 森保一監督の“再就職先”は「ベルギー1部の日系クラブ」一択か

  3. 3

    萩本欽一〈34〉私の“運”論 大谷翔平のカネを使い込んだ通訳に「小さな声で『ありがとう』」

  4. 4

    新庄監督の“再就職先”に挙がるまさかの球団 采配に賛否もチームのテコ入れ役にうってつけ

  5. 5

    菅野智之トレード不成立の裏に致命的な“前科”…ここまで11勝4敗でも市場価値が低かったワケ

  1. 6

    巨人が今オフにも菅野智之を“買戻し”へ…完全復活の元エースを待つメジャーとの争奪戦

  2. 7

    腎臓病(4)ソーセージ、ちくわ、プロセスチーズの取り過ぎが腎機能を低下させる

  3. 8

    高市首相“被災地利用PV”が大炎上! ピアノBGM付きでヘリから合掌、酷暑に汗一滴かかない不可解

  4. 9

    被災地を踏み台に…確かにビンビン「伝わる」高市首相の人気取り “政治の師”は激励に駆けずり回るハード視察

  5. 10

    強いショック状態の清水アキラに心配の声…子供を亡くした神田正輝らもたどった遺族ケアの道のり