「骨を弔う」宇佐美まこと著

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 川の増水で崩れた堤防の土中から、人骨のようなものが露出して大騒ぎになったが、よく調べたら理科の教材として使われている骨格標本だった……。そんな地方紙の小さな記事を見た家具職人の本多豊は、数十年も昔の小学生時代に仲間と一緒にいたずらで山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。

 当時のリーダー的存在だった佐藤真実子の発案で、いけ好かない担任の教師を困らせてやろうと学校の骨格標本を盗み出し、結局その標本は森の中に深い穴を掘って埋めたのだ。記事にあった発掘場所と、骨のあった場所とは異なっていたが、豊はふと「あのとき埋めたのは本当に標本だったのか」との疑念を抱く。当時一緒にいたずらに参加した友人と共に記憶をたどっていくのだが……。

 昨年「愚者の毒」で第70回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞した作家による最新作。幼い頃の思い出から推理を重ねて思わぬ事実に行きあたる。話の中に著者が出現する趣向も面白い。

(小学館 1600円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

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