「蜜蜂」マヤ・ルンデ著、池田真紀子訳

公開日: 更新日:

 2098年の中国四川省。幼い息子を愛する母親のタオには、果樹園で人工授粉をする仕事を課されていた。そこは、環境破壊の影響で蜜蜂が姿を消した世界。蜜蜂に代わって奴隷のように働く労働者が、列をなして果樹園に通い、樹木に登って花粉をつけていた。

 タオは、息子に人工授粉の労働以外の人生を歩ませることができないかと1日1時間しかない一緒に過ごせる時間に教育を与えようとする。そんなある日、珍しく休みが与えられたタオはピクニックに出かけ、そこで悲劇に見舞われる……。

 本書は、2017年ドイツで総合1位のベストセラーとなり、33カ国以上で刊行された話題の書。

 タオの物語を起点に、1852年のイングランドで蜜蜂を研究するウィリアムと、2007年のアメリカで養蜂業を営むジョージの物語が交錯しながら、それぞれの家族の運命をたどっていく。それぞれ親子の物語でありながら、生態系に与える人の影響について深く考えさせられる。

(NHK出版 2000円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  2. 2

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  3. 3

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 4

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  5. 5

    田中将大が楽天を去った本当の理由…退団から巨人移籍までに俺とした“3度の電話”の中身

  1. 6

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 7

    あのちゃん追い風だった女優業に暗雲の炎上!「嫌いな芸能人」発言で反撃される痛恨

  3. 8

    高市首相応援議連「国力研究会」発足 “大政翼賛会”に入会しなかった70人と主な議員の名前

  4. 9

    巨人“育成の星”のアクシデントに阿部監督は顔面硬直、原辰徳氏は絶句…桑田真澄氏の懸念が現実に

  5. 10

    出口夏希の“男選び”がもたらす影響…伊藤健太郎との熱愛報道と旧ジャニファンが落ち込む意外