「好きになった人」梯久美子著

公開日: 更新日:

 人気ノンフィクション作家の初エッセー集。

 雑誌のライターをしていた著者の単行本デビュー作は、太平洋戦争末期の激戦地、硫黄島の最高指揮官だった栗林忠道中将の評伝だった。「手紙の力」と題された一文では、戦争映画を見たことも、戦記物を読んだこともなかった著者が、その評伝を書くきっかけとなった一通の手紙や、大逆事件で無実の罪を着せられ処刑された管野スガが、自分の命を差し置いて恋人だった幸徳秋水を助けるために獄中から出した「針文字」で書かれた手紙について記す。

 その他、かつて秘書として仕えた上場企業の社長が発した言葉の意味を今改めて考えるなど、取材を通して知り合った人との出会いや、人生の思い出の一コマを静謐な筆致でつづる。

 (筑摩書房 760円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    すい臓がんの治療が成功しやすい条件…2年前に公表の日テレ菅谷大介アナは箱根旅行

  3. 3

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  4. 4

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  5. 5

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  1. 6

    「戦隊ヒロイン」ゴジュウユニコーン役の今森茉耶 不倫騒動&未成年飲酒で人気シリーズ終了にミソ

  2. 7

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  3. 8

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 9

    志茂田景樹さんは「要介護5」の車イス生活に…施設は合わず、自宅で前向きな日々

  5. 10

    NHK大河「べらぼう」に最後まで東洲斎写楽が登場しないナゼ?