「ざんねんなスパイ」一條次郎著
コードネーム〈ルーキー〉はニホーン国のスパイ。幼少の頃からスパイ養成組織オーファンで英才教育を受けてきたのだが、73歳でようやく出番が回ってきた。ニホーン国にとって重要な軍事的要所なのに独立をもくろんでいる市長の暗殺だ。 ところがルーキーが潜んでいた家にある日、髪もひげも伸び放題の男がやってきて、「イエス・キリストです。福音を届けにまいりました」と言う。追い返そうともみ合っているうちに、男の背にナイフが突き立てられているのに気づいた。何とかこっそり死体を始末したが、今度は郵便受けに「この街から出ていけ!」という手紙が。
暗殺するはずの市長と友達になってしまった間抜けなスパイの物語。
(新潮社 1850円+税)