「ゴールデン街 コーリング」馳星周著

公開日: 更新日:

 主人公は、北海道の田舎から上京してきた大学生の坂本俊彦。コメディアンであり、ハードボイルド作家としても名高い斉藤顕の書評のファンだった坂本は、編集部付に送った斉藤へのファンレターが縁となって、彼に誘われるまま、別名「日本冒険小説協会公認酒場」とも呼ばれる新宿ゴールデン街のバー「マーロウ」でバイトを始めた。文芸談議が好きな客が集まるバーで働けるとあって、当初は喜んでいた坂本だったが、次第に斉藤の酒癖の悪さに辟易し始める。さらに地上げ屋が跋扈するなか、ゴールデン街の存続を危ぶむ声も出始めた。そんなある日、店の常連「ナベさん」が、放火取り締まりの見回り途中に殺されるという事件が勃発。坂本は、犯人を突き止めようとするのだが……。

 本書は、著者が「不夜城」でデビューする以前に、本と酒好きが集まったゴールデン街で過ごした青春の日々を描いた自叙伝的小説。若き日にたどり着いた街で本と酒と女に溺れ、このままここにいてはダメになるのではないかと迷い、悩み、揺れる様子が描かれる。創作の原点となった、街に対する複雑な思いが熱い。

(KADOKAWA 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 2

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  3. 3

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  4. 4

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 5

    “キムタク効果”見込んだ吉野家の戦略は残念な結果に…ファンの間に沸き起こる「藤田ニコル復帰待望論」

  1. 6

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  2. 7

    ソフトバンク「佐々木麟太郎シフト」着々…同ポジションの中村晃引退、山川穂高二軍塩漬けが伏線

  3. 8

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  4. 9

    萩本欽一〈25〉「車椅子でも絶対に明治座に出す」脳梗塞で左半身麻痺の坂上二郎さんを奮い立たせたひと言

  5. 10

    維新また猿芝居…国会空転トップ会談で定数削減法案に“白旗”も「今時点で取り下げない」と強がるワケ