「綿畑の小屋」ジム・トンプスン著、小林宏明訳

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 物語の舞台は、東部オクラホマ。19歳のトミーは、洪水で両親を失い、養父のカーヴァーと同じく養子のメアリと一緒にこの地に移住してきた。

 養父は金持ちのマシュー・オンタイムから小さな土地を買ったが、トミーはマシューの娘のドナといい仲になっていた。

 そんなある日、土地の下にある石油掘削を巡ってマシューとカーヴァーが喧嘩になり、トミーの家族はマシューから締め出しを食らうことに。その後、マシューが殺害され、トミーは殺人の容疑者となってしまう。無実を訴えるトミーの運命は……。

 著者はスタンリー・キューブリックの映画「現金に体を張れ」や「突撃」にも脚本家として参加した犯罪小説分野の第一人者。没後に人気が高まり、「おれの中の殺し屋」「犯罪者」などの作品が次々と翻訳されている。

 原作が1952年に発表された本書は、不幸な生い立ちに不運が重なり窮地に陥る主人公の内面の変化が、一人称で語られる。ファン待望の一冊。

 (文遊社 2500円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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