「群青の魚」福澤徹三著

公開日: 更新日:

 特養老人ホーム「敬徳苑」で働く清水穂香は、2歳の息子を抱えるシングルマザー。父親は行方知らずで母親は病気で亡くなっており、夫も高齢者詐欺の首謀者で前科者だったと知り離婚して、きつい介護の仕事で身を立てていたのだ。

 そんな穂香が夜勤の日、認知症である近江からのコールで部屋に駆けつけてみると、近江の向かいのベッドに寝ているはずの菅本が布団に顔を伏せていた。穂香が駆け寄るとすでに呼吸はなく、状況から何者かに殺されたとみられた。最初に現場に駆けつけたのは、交番勤務の新田と武藤。さらに刑事第1課の丹野と風間が加わり、第一発見者の穂香は執拗に取り調べられることに。

 しかし遺体から採取したDNAから入居者の男が犯人と割り出されたことで疑いは晴れ、一件落着かと思われた。ところがそのころ穂香は何者かから、執拗なストーカー被害に遭っていた……。

 2008年に「すじぼり」で大藪春彦賞を受賞し、実話怪談やホラー、アウトロー小説などを手がける著者による最新警察小説。

 高齢化社会の日本で、今すぐにでも身近で起こりそうな事件設定に引き込まれる。

 (光文社 1900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発