“陸の孤島”感が否めない晴海フラッグ

公開日: 更新日:

 東京五輪の選手村跡地に造られる「晴海フラッグ」。全部で23棟のマンションが建設され、価格はまだ正式に決まってはいないが、坪単価270万~280万円といわれている。選手村マンションという話題性、そして東京都中央区としてはあり得ない安さで販売されるとあって、注目している人も多いだろう。

 しかし、いくつかの買いづらい要素があり、非常に悩ましい物件でもある。三井健太著「選手村マンション『晴海フラッグ』は買いか?」(朝日新聞出版 1800円)では、そのメリット・デメリットを徹底分析している。

 晴海フラッグの大きな不安要素となるのが、鉄道のない街であるということ。BRT(高速バス輸送システム)が採用されるが、最寄り駅まで徒歩20分ほどかかり、“陸の孤島”感が否めない。

 このような“バス便マンション”を買うことのデメリットは、不便さだけではない。最大の問題は、中古物件として売却するとき、駅近のマンションと比較して大きな差異が表れることで、20%以上安くなってしまうこともあるという。

 とはいえ、資産価値という観点には目をつぶり、ライフスタイルを重視するのであれば晴海フラッグのメリットも見えてくる。例えば、自転車通勤者なら鉄道なしのマンションでも問題はない。リタイア族なら通勤の問題自体がない。何しろ、ウオーターフロントの街なので眺望は抜群で、リゾート的な暮らしが楽しめる。売り出される間取りが多彩である点も魅力で、売り主が大手ばかりという信頼性も挙げられると著者。

 果たして“自分のライフスタイル”にとって買いなのか、その点を見極める必要がありそうだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  2. 2

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  3. 3

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  4. 4

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 5

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  1. 6

    半世紀前のこの国で夢のような音楽が本当につくられていた

  2. 7

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 8

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 9

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  5. 10

    プロスカウトも把握 高校球界で横行するサイン盗みの実情