「江戸の夢びらき」松井今朝子著

公開日: 更新日:

 浪人、間宮十兵衛の娘、恵以は6歳の頃、僧の入定を見ていた少年に威圧するようなまなざしを向けられた。それはかつて間宮の中間だった唐犬十右衛門の兄弟分、幡谷重蔵の息子、海老蔵だった。後日、恵以は海老蔵と一緒に人形浄瑠璃を見にいくことになったが、海老蔵が付き添いの唐犬組の若い者を呼び捨てにするのに驚く。

 4年後、間宮に手習いを教わっていた海老蔵が姿を見せなくなった。父の重蔵は町の地子総代人だったが、海老蔵はそれを継がず、唐犬に頼まれて舞台に立つことに。恵以がその初舞台を見にいくと、太鼓の音の後、甲高い声が響いた。「われこそは山姥が一子、怪童丸なり」

「荒事」の開祖、初代市川團十郎の一代記。

(文藝春秋 1900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束