「黄色い夜」宮内悠介著

公開日: 更新日:

 ルイは深夜のバススタンドで、イタリア人のピアッサと知り合いになった。5ドル札を挟んだパスポートを見せて国境を越え、バスでエチオピアから独立したE国に入る。石油は産出せず、作物も育たず、産業はカジノだけだ。

 ピアッサが「ひどい国だな」と言うと、ルイは「じきにそうじゃなくなる」と返した。

「ぼくがE国を乗っ取るからさ」

 首都には、らせん状の塔がそびえている。下層階のカジノは庶民用で、階が上がるにつれて賭け金が上がり、最上階では上限がない。世界ランクの富豪が最上階の87階で賭けに勝ったら、E国は彼のものになる。人を蘇らせる国を求める男がたどり着いた、奇妙なギャンブル王国の物語。

(集英社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 2

    海星・陣内優翔は長崎県初の“完全男”だが…スカウトが「上位獲得」を渋るワケ

  3. 3

    NHK「昭和16年夏の敗戦」は見ごたえあり 今年は戦争特別番組が盛りだくさん

  4. 4

    二階堂ふみ&カズレーザー電撃婚で浮上したナゾ…「翔んで埼玉」と屈指の進学校・熊谷高校の関係は?

  5. 5

    自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方

  1. 6

    永野芽郁が“濡れ場あり”韓流ドラマで「セクシー派女優転身、世界デビュー」の仰天情報

  2. 7

    突然のがん宣告にも動揺なし「で、ステージはナンボでしょうか?」

  3. 8

    長崎を熱狂させた海星・酒井圭一さんが当時を語る…プロ引退後はスカウトとして大谷翔平を担当

  4. 9

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩

  5. 10

    平和記念式典での石破首相スピーチの評判がすこぶるいいが…原稿を下書きしたのはAIだった?