「私的読食録」堀江敏幸、角田光代著

公開日: 更新日:

 名作に登場する「食」を語るリレーエッセー。

 向田邦子が「父の詫び状」で「カレーライス」と「ライスカレー」の違いについて述べていることを取り上げた角田氏は、ぜいたくな料理もたくさん食べたであろうこの作家が、みりん干しやさつま揚げなどのごく普通の料理を徹底して書いたことに驚嘆。彼女が書いたからこそ、普通の日の普通のごはんは、ちょっとすてきなものになったと。

 一方の堀江氏は、ローレンス・ブロックの小説「殺し屋」に出てくる殺し屋ケラーが空腹を満たすためだけにとるピザやドーナツなどのありふれた食事シーンに、食べるという行為の残酷さと悲しさを見る。

 ほか、開高健の「最後の晩餐」や内田百閒「御馳走帖」など100作品。「読むことでしか食べられない」至高の食体験。

(新潮社 630円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー