「完本 アイヌの碑」萱野茂著

公開日: 更新日:

 アイヌ文化の伝承保存に尽力した著者の著作を集成した復刻版。

 ある冬、近所の古老を訪ねると、玄関にフレアュシニ(木いちごの枝)がさしてあった。風邪よけのまじないだ。古老の家は、他のアイヌの家同様、今は耐寒ブロックの現代風の家だが、忘れ去られたと思っていたこの風習を守っていた。そのフレアュシニを見た途端、著者の脳裏に四十数年前の二風谷の風景が鮮やかに蘇ってくる。板囲いの隙間だらけの家の囲炉裏の前で、祖母は糸をよりながら孫たちにアイヌ語でウウェペケレ(昔話)をたくさん聞かせてくれた。自分の民族の誇りを持つことができるようになったのは、そんな祖母のおかげだという。

 自らの人生を振り返りながら、アイヌ民族の背負った過酷な歴史や豊かな文化をつづる。

(朝日新聞出版 1100円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    山田涼介が「令和最強アイドル」と評されるワケ…主演ドラマ「一次元の挿し木」は玉森裕太を三歩リード

  2. 2

    沈黙貫く橋本愛vs佐藤二朗「週刊新潮」で反論の泥沼化…SNS連投で"自滅"を心配する声も

  3. 3

    『ひよっこ』再放送記念、神回「ビートルズがやって来る」再録

  4. 4

    骨折で入院中ですが…ブラジルに惜敗した森保Jを巡る一部炎上報道で心が痛い

  5. 5

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  1. 6

    男子バスケ日本代表に激震、ホーバス監督“解任”の真相…過去には八村塁と確執も 

  2. 7

    孤立深まる高市首相…国会10日ぶり正常化でも続く“包囲網” 与党内からも反発の声噴出の自業自得

  3. 8

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  4. 9

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  5. 10

    村上誠一郎前総務相が高市政権バッサリ!「これが本当に保守政治なのか」…突きつけた自民「立党宣言」との乖離