「徴産制」田中兆子著

公開日: 更新日:

 2092年、国民投票で徴産制が承認され、翌年から施行される。数年前の新型インフルエンザの流行で若い日本人女性の200万人以上が犠牲になり、国家を維持するために導入されたのが徴産制だ。日本国籍を有する満18歳から30歳までの男子すべてに性転換手術で最大24カ月、女性になることを課し、子どもを産ませる、兵役ならぬ産役だ。

 アキタの農家の家で育ったショウマは、将来の見通しが立たない暮らしを何とかしたいと応募する。産役につけば国から給料が出る上に、志願者には一時金も上乗せされ、出産時には報奨金も出るからだ。期待と不安を抱えて女になったショウマは、自分の容姿にがっかりする。男時代のままのブスだったからだ。

 女になった5人の男たちを描く連作集。

(新潮社 737円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ