「もうひとつの最強馬伝説」マイクロマガジン 名馬取材班編著

公開日: 更新日:

「もうひとつの最強馬伝説」マイクロマガジン 名馬取材班編著

 競馬では時代ごとに名馬が登場し、ファンを沸かせてきた。1970年代には、地方競馬出身のハイセイコーが国民的人気となり、競馬が健全な娯楽として認知されるようになった。そして1980年代後半、1頭の名馬の出現によって、第2次競馬ブームが到来する。

 本書は、その空前の第2次競馬ブームから現在にいたるまで、競馬人気を牽引してきた名馬たちを取り上げ、その馬をもっともよく知る関係者に取材して、その素顔や強さの本質に迫る名馬図鑑。

 トップバッターはその第2次ブームの立役者・オグリキャップだ。

 オグリがもっとも脂がのっていたのは5歳(現在の表記では4歳)のとき。秋のオールカマーで療養から復帰し、有馬記念まで6戦を戦い抜いた。

 その「伝説の6戦」すべてに騎乗した南井克巳氏によると、オグリは地方競馬上がりのワイルドで野武士的な印象とは対照的に「冷静でレースぶりも優等生。弱点や欠点がまったくなかったすごい馬」だったという。

 1990年代に活躍したトウカイテイオーは、デビューから4連勝。その勢いのまま皐月賞、日本ダービーを制して2冠を達成するが、レース中に骨折をしていたことが判明。以後、現役時に3度の骨折に見舞われ、そのたびに復活を果たした。

 その休養期間を過ごしたのが故郷の北海道・二風谷軽種馬共同育成センターだった。当時の場長・岡元幸広氏は、テイオーは本当に特別な馬で、観察力がものすごく、エサもいいモノとそうでないモノを自分で区別。そして、なによりも注射が嫌いだったと語る。

 以降、ディープインパクトやオルフェーヴル、キズナ、キタサンブラック、そして引退したイクイノックスまで。歴史に残る36頭の知られざるエピソードが満載。

(マイクロマガジン社 1980円)

【連載】発掘おもしろ図鑑

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々